独立を考えている人へ

D【衰退期〜廃業】編 ー Vol.03 会社の季節は『冬』ー一2012年11月末、トドメを刺されたような出来事が起こる!

先が全く見えない状況の中で、2012年を迎えます。

2011年に起こった東日本大震災により、お客様の家づくりに対する価値観が急激に変わったことで、引合数が大幅に減り始めます。

この時期以降この業界では、少なくなったパイ(お客様)の取り合いが始まるのです。

同業他社との熾烈な『安売り合戦』により、家づくりもデフレの流れに飲み込まれていきました。

更に、職人さんの『手間賃』にまで影響がでて大幅に低くなったことや、職人さんの高齢化、仕事が減ったこともあいまり『この機会に会社をたたもう』という会社や人がたくさんでてきました。

その結果、設計事務所では『仕事を取っても、受けてくれる工事会社が無い・・・』という最悪の事態に陥っていたのです。

ほんの数年前の状況と比べると、信じられないくらい世の中が激変してしまったという感じです。

 

D【衰退期〜廃業】編 ー Vol.03 会社の季節は『冬』ー一2012年11月末、トドメを刺されたような出来事が起こる!

 景気の波に飲み込まれた私は・・・
・『何をどうしたら、この状況を変えることができるのか?』
・『できることは何か?』
毎日試行錯誤していましたが、何をしても急に状況が改善することはなく『どうしようかな〜!?』が、口癖になっていました。

収穫の秋が終わると『冬』が来ますが、その『冬』とは、一年の中で最も夜が長く寒い季節で、生物にとっては、命の危機にさらされる時期です。

この時期の私の会社は、まさにこの季節を迎えたような危機的状況だったと思います。

 ちなみに、2012年の実績は下記の通りでした。
・2012年 ホームページ引合 6件/契約3件/お引渡し2棟/季節は冬

『契約』については半減したとは言え、2棟分に匹敵する大型物件をとっていたこともあり、実質は4棟分の金額でした。

でも、この数字の中で最も怖いのは『引合数』です。2008年には48件もあった『引合』が、たったの6件にまで落ち込んだことです。

私がつくった会社は、『インターネットからの引合がメイン』で成り立っていました。逆を言えば、それ以外のルートはありませんでした。

今にして思えば『引合のルートが一本しか無かった!』というのも敗因の一つだと思いますが、会社はかなり厳しい状況に追い込まれたのです。

 このような状況の中で、この年の11月末に青天の霹靂ともいうべきショッキングな出来事が起こります。

それは、私の会社が設計監理をしていたプロジェクトが上棟をした時に、工事をしていた施工会社が倒産したことです。

いや〜、これには本当にまいりました。

正直、他のことが全く何も手につかなくなるほど放心状態になり、精神的に本当に辛かったです。

ちなにみ工事中に工事会社が倒産すると、現場はどうなるか?と言えば・・・
・取り付けてある窓やドアを外して持って帰ってしまったり
・現場に納入してある材料を持って帰ってしまったり
・防水工事の途中で止まっているため、雨がもってきたり
とにかく、お客様の大切な家である現場は、荒れ放題となります。

本来であれば、お客様も債権者なので、その現場には無断で入ってはいけないし、持って帰ってもいけいないのですが、現実はとても厳しいものです。

でも、専門業者さんの立場から言えば、上記のことをするのは当然と言えるかもしれません。

 このような状況で率直に思ったことは『設計事務所は本当に無力だ!』ということです。

基本的に設計事務所とは『設計力でお客様の問題点を解決して役に立つ』という部分に存在意義があります。

でも、このような状況では、お客様から『何とかしてくれ!』と言われても…
・『何をどうしたらいいのか?』
・『誰に相談したらいいのか?』
…設計力とかの問題では無いので、全く打つ手が見つからないのです。

 そして、最終的には『お金』という大問題も出てきます。

上棟段階では、通常お客様は工事会社に対して、工事金額の2/3を支払いますが、現場は金額的に見ると、良くて1/2、普通は1/3ちょっとしか完成していません。

つまり、上棟時に工事会社が倒産した場合は、お客様は建物を完成させるために『その差額分を、持ち出して負担する』ということになります。

最終的には、このような状況から半年以上かかりましたが建物を何とか完成させて、お引き渡しまで持っていくことができました。

でもこの出来事は、私のつくった会社の歯車を狂わせ、私の気持ちを大きく変えたのです。

これ以降、私の気持ちは…
冷めたというか、熱い気持ちになれないというか?
緊張の糸がプッツリと切れたのか?
怖さがあるのか?
心に引っかかる何かがあるのか?
自分自身でも上手く言い表せないのですが、とくかく感覚的には一歩引いたところでしか、仕事ができなくなってしまったのです。

そうなると不思議なもので、今までだったら絶対に契約が取れたような仕事が、取れなくなるのです。

更に悪いことに『取らない方が面倒くさいことがおきないから、その方がいいか!』と、思うようなっていました。

そして、この状況を見てわかったのでしょう、何も言わずともスタッフは一人づつ去っていき、最後は私一人となったのです。

今まで命を削って築き上げてきた会社は、あっという間に崩れ去っていったのです。

【まとめ】
次回は、2013年から2014年の5月末で会社をたたむまでです。

借りていた事務所をでていく悲しさ、『くそ〜!』という悔しさ、『これから先どうしよう!』という不安など、心の中ではいろいろな感情が混ざり合っていましたーー!!

最後の2年弱について、お話したいと思います。

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