私は2002年から2014年の間、独立して設計事務所を経営していましたが、その時に『中庭をつくりたいーー!』というお客様と出会えたことが、私の人生の転機だったと思います。
『中庭空間のある家』の完成後は、この家に多くのお客様が共感してくれ、たくさんの人との出会いにつながり、大きく運命が変わったことを実感しました。
今でもその影響というか、そのお陰で食べていくことができています。つまり『中庭のある家を望んでいたお客様との出会いが、私の人生の転機だった!』と言えるでしょう。
お客様は、結婚されたばかりの30代ご夫婦でした。明るくて気さくなお客様の一番のご要望は『中庭をつくりたい!』でした。その当時の私は『中庭』らしきものをつくった事はあったが…という程度。あまり深く考えた事もありませんでした。
当時の私は『仮に中庭をつくったとしても、壁で囲われた空間は、非常に暗くなるだろう!』と考えていましたので提案したプランは、建物を<コの字型>にした『中庭らしきもの』をつくったプランでした。
私の頭の中では『お客様もこれで十分!と思ってくれるだろう』と考えていましたが、そのプランを見たお客様は『これは中庭じゃないーー!!』『中庭になるように完全に壁で囲ってプライベートを守れるようにしたい!』と言うではありませんか!(焦
それは私にとって全く予想外の反応でした。そこで私は『完全に壁で囲ってしまうと暗くなるし、風通しも悪くなるでしょう!』『だから<コの字型プラン>にしたのですが、こちらの方が良いのではないでしょうか!?』と、自分の考えをお話しさせて頂きました。
しかしお客様からは、
・『このプランだと、近隣からの視線が気になる。窓をつくっても視線が気になりレースやカーテンを引きっ放しになる』
・『窓は開けられないので、エアコンに頼った生活になる』
・『壁を作ってふさいだ方がプライベートも守れるし、窓を思いっきり開けても壁があるので、外から見えなくなり防犯的にも安心』
『だから思いきって壁を立ち上げて下さい!』と、プロの私が『なるほどーー!!』と、思いっきり納得できるお話を頂きました。
正直、私は『中庭』について『暗くなるだろう!』というデメリットしか思いつきませんでしたが、お客様との会話の中で多くのメリットがあるということに気づかされました。そして私自身初めてとなる『本格的な中庭のある家』のプロジェクトがスタートする事になったのです。
■実際に完成した中庭空間■
【まとめ】
この作品をきっかけとして、その後は『中庭空間』をつくり続けました。このブログを書いていて自分でも驚くのですが、設計事務所を閉鎖し別の会社に転職した今でも、この体験・経験・考え方に影響され続けています。
誰にとっても『人生の転機だと感じる出会いや出来事』があると思いますが、私の人生にとってこのお客様との出会いが、大きな転機をもたらしてくれました。改めて感謝の気持ちが一杯になりました。
ちなみに私が思う『世界一の中庭空間』は、スペインアンダルシア地方グラナダにあるアルハンブラ宮殿にある中庭です。(※一番上の写真)